地学団体研究会 第62回総会(東京) 2008年8月22日(金)〜24日(日) 62nd Annual Meeting of ASSOCIATION FOR GEOLOGIC COLABORATION IN JAPAN in Tokyo, 22-24, Augst, 2008 |
東京総会準備委員会ニュース
2008年夏は「徳丸ヶ原」でお会いいたしましょう東京総会は8月22日から金・土・日の三日間です。東京支部はいささか高齢化が進んでおりますが、周辺の支部の協力を得ながら持てる力を振り絞って本格的に準備を始めたところです。 会場は大東文化大学板橋キャンパス「いらっしゃい東京」にもありますが、さわやかな雰囲気で、参加者が一体感のもてるコンパクトな会場をお借りする事ができました。場所は武蔵野台地・赤塚の北側に接して広がる「徳丸ヶ原」にあります。交通の便はよいのですが、ただし問題があります。東京のどこを会場にしてもそうですが、駐車場がいっさいなく、車はキャンパスに入ることもできません。また、周辺を探しても有料駐車場も数台分ほどしかありません。したがって、車で参加することはもちろん、荷物の運びこみもいっさいできず、事前に宅急便で届ける以外ありません。地方からのみなさまには不便な点もありますが、そのような事情をご了解下さい。 シンポジウムの内容についてはほぼ形が整いつつあります。次号にはその準備状況も含めて報告いたします。 総会日程の大枠は以下のように今年の大阪総会、あるいは昨年夏のつくば総会において「地質と社会」シンポジウムが取り組まれてきました。東京総会ではこの「地質と社会」を科学運動シンポジウムとして取り上げ、総会全体の参加者で討論をしたいと思います。今回のシンポのキーワードは「都市」。都市における地震災害と防災、都市から大量にはき出される産業廃棄物、あるいは都市において特徴的に発生する環境問題など具体的なテーマは検討中です。地質家として社会にどのように関わるか、議論深めていきたいと思います。 地学教育分科会を第1日目午前中に 大阪総会の地学教育シンポでは現在の危機的状況をいかに打破していくかが議論されました。このシンポのまとめにあったように、引き続きこの問題を取り上げたいと思います。限られた総会日程ですので、第一日目の午前中に地学教育分科会として行いたいと思います。東京に早めにおいでくださるようお願い致します。 創造活動はシンポ・学習会の3本立 第一日の午後は、次第に明らかにされつつある地下深部の情報と地表地質との関係に焦点をあてたシンポ、第二日の午前中は濃飛流紋岩の活動に代表される後期白亜紀〜古第三紀の火成活動を取り上げます。また、学習会という形式で第3日に日本海に関する講演を3つ準備しています。 学術シンポジウムの概要紹介東京総会の学術シンポジウムは2本立てです。今回は分野・テーマが異なるシンポを同時並行で行うという形式ではなく、総会に参加した会員のみなさんが一同に会してのシンポジウムになります。今回のテーマに関係する方はもちろん、研究分野が異なるみなさんにも参加していただきますようお願いいたします。こういう形ですので、他分野の方にも最新の研究の到達段階が理解できるように組み立てるべく準備中です。以下に、取り組まれているシンポジウムの概要をとりあえず紹介いたします。 「島弧の深部構造―地質・地震・地震波トモグラフィによる解析」(仮題) 日本列島は火山・地震の多発地帯であり、地下深部の情報が得られる重要な地域の一つである。このシンポジウムでは、島弧深部の構造がどのようになっているかに焦点をあて、地表地質、地震、地震波トモグラフィのデータなどから、マントルまでの地下深部の構造をさぐってみたい。地表の変動は地下深部の構造運動とどう関係するのか、深発地震の震源分布は板状の分布を示すのか、地震活動には単元はあるのか、また、地質単元とはどう関係するのか、地震波トモグラフィの解析などにもとづいて島弧の地下深部の構造を追求し討論する予定である。 (連絡係 足立久男) 「日本列島における後期白亜紀〜古代三紀の酸性火成活動」(仮題) 日本列島における造構火成活動の中でとりわけ重要な意味をもつのが、後期白亜紀〜古第三紀の酸性火成活動である。この火成活動は西日本内帯および東日本の広域にわたって出現し、おびただしい量の酸性火山岩類と花こう岩類をもたらしているという点できわめて特異な活動である。長年にわたってこれらの岩石にたいする研究が行われているが、近年になって分析機器や年代測定値の精度が向上してきており、新しい知見が次々と明らかになりつつある。一例を挙げれば濃飛流紋岩団研グループによる専報53「濃飛流紋岩」(2005年)は最近の研究成果をふまえた内容でありかつこれまでの研究の集大成となっている。東京総会シンポジウムでは、進展の著しい、この時代の酸性火成活動の性格や形成時期、コールドロン形成機構などについての各地の最新研究成果を紹介してもらい、この火成活動のもつ特異性や共通する性格を明らかにすると共に酸性マグマの起源について意見を交わす予定である。 (連絡係 宮城晴耕) 東京総会のシンボルマーク東京総会だから単純に、動物なら「トウキョウサンショウウオ」、人間なら写楽の「江戸兵衛」をモチーフにしました。きれいな水にしか棲めないサンショウウオにあえてトウキョウを冠してもらい、無節操な都市開発をいさめてほしいと思います。役者絵のエドベエはまさに襲いかかろうと言う瞬間。思わず「露頭で勝負!」と声をかけたくなります。 (東京支部 渡辺拓美) 科学運動シンポ「地質学と社会」の内容と
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大東文化大学板橋キャンパス |
第62回総会準備委員長 宮城晴耕
東京は魅力がいっぱい
17年ぶりの東京総会が今夏8月22日(金)より24日(日)まで大東文化大学で開催されます。東京支部では久しぶりに行われる地元東京での総会に向けて全力を挙げて準備に取り組んでまいりました。その結果シンポジウムをはじめ巡検・ポスターセションなど充実した内容の企画が勢揃いしました。全国より多数の会員の皆様に集まっていただき、盛大な総会になることを期待してお
ります。
東京というと、日本の首都であり政治・経済・商業の中心地といった面ばかりが強調されて、何となく取りすました大都市という印象をもたれがちですが、実際は庶民の活気に満ちた、粋で人情に厚い人々が暮らす親しみのある町です。安藤広重の名所江戸百景に描かれた古き良き風景の面影も至る所に残っています。江戸名所図絵や江戸切り絵図などを見ながらの都内散策は最近のブームです。昭和のレトロな町並みを楽しみたい方は都電荒川線にに乗るとよいでしょう。その他、博物館・美術館めぐり、動物園見学、東京湾の干潟見学などなどつきせぬ魅力でいっぱいです。さらに、東京ならではの食の魅力もあります。ぜひ東京総会に参加されて、東京の魅力にたっぷりふれてはいかがでしょうか。
会場も魅力的です
今総会は大東文化大学の全面的協力の下に、板橋校舎の施設を使用させて頂くことができました。かつての徳丸ケ原に立地する近代的校舎は、建築されたばかりの斬新なデザインの建物です。全体の美しい構成とともに、強化ガラスに太陽発電パネルと遮光のための簾をデザイン化したり、自然採光、省エネルギーなど環境重視の建築ということでも評価を受け、東京建築賞の最優秀賞となった建築です。全教室が非常に使いやすい会場で快適な総会を楽しめると思います。あらためて大東文化大学関係者の皆様へ感謝申し上げます。なお、車での立ち入りはいっさいできませんのでご注意願います。
中味の濃い総会プログラム
今総会も様々なシンポジウムや集会が組まれております。
今回は初日の午前中にもプログラムが入り、地学教育シンポがひらかれます。災害・環境・資源などの問題に果たす地学の役割の重要性を再確認し、危機的な状況にある地学教育をどのように打開するか討論します。元気の出るシンポにしたいと思いますので是非午前中からの参加をお願い致します。
学術シンポとしては初日午後に「島弧の深部構造―地質・地震・地震波トモグラフィー解析」が予定されています。島弧深部での地震活動と地表の地質との対応性やマントルトモグラフィーによる地球内部の解析と火山活動との関連性など、最新の成果に基づいて議論されることになっています。二日目には「日本列島における後期白亜紀〜古第三紀の酸性火成活動」が予定されています。ここでは西日本から東日本にかけてのこの時代の火成活動の広域対比が新しく得られた年代測定値もとにしてて紹介されると共に、濃飛流紋岩をはじめ多くの個別のコールドロン地域での最新の研究成果に基づく酸性マグマ発生過程について議論される予定です。最終日の午前中には「日本海の地質に関する学習会」が予定されており、日本海の海底地質や日本海沿岸地域の火山岩類について
の報告をもとに議論が展開されるでしょう。なお、この学習会にはロシア科学アカデミーの太平洋海洋学研究所(ウラジオストック)からお招きしたワシリエフ氏とガブリロフ氏も参加することになっています。最終日の午後は科学運動シンポ「地質学と社会」が予定されています。環境や災害問題に取り組む会員の様々な実践報告がなされる予定です。
今総会は、参加者全員が同じ会場で同一シンポジウムに参加する形式です。専門の枠にとらわれず共通の話題で積極的に議論に参加していただきたいと思います。
また、夜間集会も階層別・分野別集会が充実して開かれます。ぜひとも、多数の会員が東京にあつまっていただき、中味の濃い東京総会を作りあげましょう。