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生痕化石の命名

生痕化石の命名は,ICZN(国際動物命名規約)に規定 されている.
  • 生物と関係づけられる現生生痕には命名してはならない.
  • 生痕化石には形態名をつけ,動物とは別個に形態種として命名する.
      
    • 全く異なった分類群の生物が,類似した形態をつくることがある.
      全く異なる4種の動物が同様の堆積物中につくった類似する休息痕のRusophycus ispp. (a)三葉虫類,(b)カブトエビ類,(c)環形動物多毛類Aphrodite,(d)ムシロガイ類の巻貝. Ekdale et al.(1984)を引用.
        
    • 行動の違い・底質の違いにより,同一の生物が異なった形態の生痕をつくる.
      シオマネキUca sp.がつくるいろいろな生痕.

      (a)居住痕のPsilonichnus isp.と開口部周囲の掘り出し砂団子,
      (b)移動痕のDiplichnites isp.,
      (c)移動摂食痕:放射状の不規則な溝と摂食砂団子,
      (d)糞粒.

       Ekdale et al. (1984) を引用.
      同一種の十脚甲殻類の居住痕(巣穴)を表す3種の生痕化石.

      不安定な砂層中につくられたOhiomorpha nodosa は,外面に泥団子をつけた厚い泥の裏打ちをもつ.
      半固結状態の泥層中につくられたSpongeliomorpha iberica は,内面に爪による条線をもつ.
      粘性の高い泥層中につくられたThalassinoides suebicus は,裏打ちをもたず内面が滑らか.

       Ekdale et al.(1984)を改変.
        
    • 模式標本を指定し,公的施設に保管し,同定を保証する.

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